ICTの積極的な活用を支援します

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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第88号)

    http://www.ictm-p.jp/

                          2021/4/21

 

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【目 次】

 

1.会長コラム 『本格的DXへの挑戦 』

 

                                       ICT経営パートナーズ協会 会長

      

                        関 隆明

                                      

2.ニュース・お知らせ: 今号は有りません

 

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 【会長コラム】『本格的DXへの挑戦』

 

                                        ICT経営パートナーズ協会 会長

                                        

                         関 隆明

 

 

 

  昨年度は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに見舞われ、世界中の人々の

 日常生活や産業活動に、未曽有の打撃をもたらしました。

 昨年4月に第1回緊急事態宣言が発令されましたが、5月には解除され、「ウイズ

 コロナの時代」に入りました。

 

 その後第2波が襲ってきましたが、これも抑制し、このまま感染は収まって行くか

 と期待したのですが、年末から第3波に襲われ、新年明け早々、 第2回緊急事態

 宣言が、1都3県を対象に発令されました。その後対象府県の増加もあった為、禁 

 止事項の強制力強化の為の法改正も行い、抑制に力を入れましたが、宣言期間の再

 延長が続き、漸く3月21日に宣言解除となりました。年度当初よりこの間、特別

 定額給付金や雇用調整助成金の申請システムのトラブル、接触確認アプリ「COCO

 A」の障害発生など、多くの行政システムの不備が露呈されました。宣言解除後は

 ワクチン接種による抑制効果が出て来ることを期待しましたが、欧州を中心に変異

 ウイルス感染が急増し、遂に日本でもその感染者が増加してきました。「まん延防

 止等重点措置」の対象都府 県数が増えてきており、国民はワクチン接種の加速を待

 ちわびています。

 

 世界で一番早くワクチン接種を始めたイスラエルでは、国が国民一人一人の病

 歴や治療歴の分かるデータベースを整備してあり、ワクチン入荷予定に合わせ、国

 の方からダイレクトに個人宛に接種案内が届きます。その為国民はスピーデイに接

 種を受けることが出来、すでに国民全体の60%以上が接種済みだと聞いています。

 

 対する日本では個人別のワクチン接種経過は自治体ごとに把握することになってお

 り、そこからデータを取り、新型コロナのワクチン管理をするシステムを開発中と

 聞いています。まさに泥縄ですが、早く完成させ、スムーズにワクチン接種を国民

 全体に行きわたらせ、度重なる失敗によって地に落ちた行政システムの、信頼回復

 のきっかけにして欲しいと思います。

 

 コロナ感染症のパンデミックの中、昨年9月に日本では菅内閣が発足し、今年1月

 に米国ではバイデン大統領が誕生しました。 菅内閣は先ずは「コロナ感染抑制」

 と「経済活動回復」の両立を図りながら、「デジタル化」と「グリーン化」を最重

 要課題に掲げ、「規制改革」や「縦割り行政の打破」など、課せられている課題山

 積の中の船出でした。

 

 一方バイデン大統領は就任早々、前政権が脱退した「パリ協定」への復帰、[WHO」

 脱退取りやめなどに関する大統領令を発し、国際社会との協調姿勢を明確に打ち出

 しました。現在世界を挙げて大きな問題となっているコロナ禍や環境問題など、国

 際協調が必要とされる問題が山積しており、これらの変更は大変高く評価されてい

 ます。

 

 しかし対中国の強硬姿勢だけは前政権と変わらず、中国を世界覇権を争う「最憂慮

 すべき競争相手」と位置付けています。「日米豪印の枠組み」による中国覇権主義

 の抑止力強化を図り、トランプ前政権下で傷ついた米欧関係を早期に再建し、対中

 政策で協働戦線を張る戦略を描いています。

 

 一方いち早くコロナ禍を封じ込んだ中国は、先端技術で米国を凌ぐ力をつけ、

 2028年には米中のGDP逆転も予測されています。 習国家主席はかつてない

 自信を持って、世界の覇権を握ろうとしており、米中の対立はますます激しさを増

 してくるだろうと予想されます。

 

 このような情勢の中、日米の協力関係はますます重要度を増し、軍事面、経済面で

 も重責を求められてくると思います。中国と経済関係の深い日本は、米中間の経済

 のデカップリングが進めば進むほど、如何に米国を中心とする経済圏内だけの経済

 に切り替えていくかという、極めて難しい問題に直面することになるでしょう。

 

 いずれの課題にしても、日米の関係強化は、多くの遅れの目立つ日本にとって、ま

 すます重要な意味を持ってくると思います。  しかし米国に寄りかかることは許

 されず、自立した政策を打ち立て、頼れる国になることが期待されています。

 

 国も企業もしっかりした情報武装をし、十分な戦略をもって交渉に当たることが、

 強く求められてくると思います。また軍事面では特にシビアな機密保持が要求され、

 高度なセキュリテイシステムが確立できないと、同盟関係維持にも支障が生じかね

 ません。その意味でもDXの遅れは許されず、飛躍的進歩が望まれてくると思います。

 

 いよいよ今年9月には「デジタル庁」がスタートし、ここを司令塔として、政府や

 自治体のシステムを抜本的に改善し、国民にとって利便性の高い行政サービスの実

 現を目指すことになります。国の情報システムを統括し、他省への勧告権など強い

 権限を持ち、従来個別に整備して来た自治体のシステムは、国が作る基準に適合し

 たシステムの利用を法律で義務付けられ、標準化などを実施することになっていま

 す。

 

 今までも各省、各自治体ごとにばらばらにシステムを構築し、データがつながらな

 い問題が指摘されており、それらを解決する為には、強い権限を持った司令塔が必

 要だと思っていましたが、漸くその体制が出来ると期待しています。

 行政のデジタル化は民間のデジタル化の前提になるわけで、民間のデジタル化の共

 通化、標準化もしっかり指導願いたいと思います。

 

 経産省は昨年12月「DXレポート2」を発表しました。

 2018年に出された「DXレポート」では、日本企業の情報システムのレガシー化

 が進み、この変革が進まないとDXへの取り組みが出来ず、DX後進国になってしまう

 との「2025年の崖」の警鐘を鳴らしました。

 

 今回の「DXレポート2」ではコロナ禍発生により、世の中は一変した。 アフター

 コロナ時代は元に戻るのではなく、断絶的なイノベーションにより、全く新しい時

 代の要請に対応可能な、新しいシステムの再構築が強く求められるようになる。従

 って企業の大小問わず、従来のレガシーシステムをどう変えるかではなく、全く新

 しいビジネスモデルを創出し、デジタル技術を駆使して新しいシステムを構築する

 ことが必要になってくる。更に私達自身が事業環境変化に対応できる能力を身に着

 け、企業文化を変革していくことが大切だと指摘しています。

 

 DXを実際遂行して行かなければならない企業側は、現業を続けていきながら、稼い

 だ資金でDXを推進して行かなければなりません。  アビームコンサルテイング社

 の調査結果を引用させてもらうと、DXの取り組みで成功に至ったのは僅か6.6%で、

 DX成功のカギは、

 

 (1)どんな新しい姿を目指すのか?                                     

 (2)如何に変革を推進するのか? 

 (3)如何にデジタル技術を活用するのか? 

 

 が重要な論点であり、特に「DX」の「X」がポイントになると指摘しています。

 私は実務的な視点から見て、これらの論点に立ち、具体的に検討を進めていく上で、

 次のような諸点が必要になると考えています。

 

 (1)レガシーシステムも含む現行システムが扱っているビジネスモデルの扱い

    現在のビジネスモデルがアフタ―コロナ時代に通用するか?

    しないと思われるなら、新ビジネスモデルの創出が急務。

     通用すると思われる場合でも、常に現行ビジネスモデルの遂行とパラレルに、

    次のビジネスモデルの検討をして置くべき。 (両利き経営) 

 

   (2) ビジネスモデルの創出、それを実行する為の業務プロセスの設計から、システ

   ム開発・運用までの工程の、飛躍的効率アップ。 ローコード開発ツール始め

   、各上流工程の優れたメソッド・ツールの徹底的活用。

 

   (3) システムの内製化推進体制の強化

       経営トップのITリテラシーの向上と、システム開発時のリーダーシップの発

       揮、専任CDOの任命、事業部門の要員と情報システム部門の要員及び現場の要

       員の融合組織編成。 ローコード開発メソッド・ツールの活用により、事業部

       門の要員もシステム開発を可能にする。

 

   (4) 社員全員参加型の企業文化の変革

       企業トップと従業員との会話による企業の「ありたい姿」の共有、従業員同士

   の部門を越えた情報交流の活発化。

       自らの仕事のデジタル化意識の向上。

 

   (5) 外部パワーの積極的活用

       経営コンサルタント、ITベンダーや各種専門家からなるオープンイノベーシ

       ョン型チームによる協創。

 

 以上の諸点はある規模以上の企業についての指摘ですが、企業数で99.7%を占め

 る中小企業のDXを、どのように進めて行くかが重要な課題だと思っています。

 しかし社長が全てを掌握し、強いリーダーシップを発揮している中小企業の方が、

 或いはDXを進めやすいかも知れません。導入したいツールの価格問題も含め、今後

 大いに検討して行きたいと思っています。

 

                                以上

 

 

 

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