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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第83号)
http://www.ictm-p.jp/
2020/11/18
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【目 次】
1.巻頭コラム 『「ニューノーマル時代」のビジネスのルールチェンジ 』
一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 代表理事
ICT経営パートナーズ協会 理事
森戸裕一
2.ニュース・お知らせ
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【巻頭コラム】 『「ニューノーマル時代」のビジネスのルールチェンジ 』
一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 代表理事
ICT経営パートナーズ協会 理事
森戸裕一
社会は「withコロナ」の時代に突入し、それと同時にビジネスの現場においては、
かつてないほどの急速なスピードで「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が
進行していく時代を迎えている。 また、政府も「デジタル庁」の創設を新たな施策
として打ち出しており、行政主導でもDX社会構築に向けた動きが進みつつある。
今回は「『ニューノーマル時代』のビジネスのルールチェンジ」と題し、DXの本質と
は、DX時代に起きている社会変化、自社内においてDXを実践していく上で理解してお
くべきポイントについて簡単に説明できればと思っています。
【DXとは?(IT・ICTとの違い)】
「ニューノーマル」という言葉は「新しい常識」ということになるが、その一方で
「古い常識」が存在するということでもある。
古い常識を新しい常識に変えていく、すなわちビジネスにおいては、そのモデルの変
革、そのプロセスのルールの変革、あるいはその両方、ともいえる。
DXをテーマとした講演をしていると、こんな質問を受ける。
「『デジタルトランスフォーメーション』という言葉を最近聞くようになったのです
が、今までのICTとは何が違うのですか?」
今まで、IT・ICTの導入に際しては、従来のビジネスプロセスやビジネスモデルを変
えること無く、「効率化」を求めていた側面があった。
しかし『デジタルトランスフォーメーション』となると、自分自身を、もしくは組織
自体をいかに変革・変容するか、という話になってくる。
ビジネスプロセスやビジネスモデルを変えることが前提であって、「テクノロジーで
処理効率を上げる」とは全く異なる話だ。
「ニューノーマル」時代を迎え、従来のビジネスモデル、ビジネスプロセスをどう変
えていくのか、ということに主眼を置いていく必要がある。
【DX時代に起きている大きな社会変化】
働き方、学び方、そして、生き方自体をもどう変えていくか。こういったことを考え
なければならない時代を迎えている。
企業経営であれば、企業経営のそもそもの「当たり前」が変わってくるため、「戦
略」をどう置き換えるのかが重要である。
ビジネスを継続させるためには流動的な時代を迎えたということを認識した上で、自
分たちが変わっていかなければならない。
そして、新たな働き方の登場である。最近は「テレワーク」といった言葉もよく聞く
様になったが、こういった新たな働き方に対してどのようなマネージメントを行って
いくかということが近々の経営課題とも言える。
時代は大きな変革を迎え、「終身雇用制度の終焉」「年功序列制度の崩壊」といった
話も聞くようになった。 これまでは「箱物行政」で「モノ」を作ってきたと言われ
るが、時代は「モノ消費」から「コト消費」へ、そして最近では「ヒト消費」という
点にフォーカスされるようになってきた。
つまり、時代の変化に合わせた「ヒト」のマネージメントが重要になってきた、とい
うことである。
昨今では人工知能、RPA、ソフトウェアロボットに代表されるように、事務処理に関
してはコンピュータが一番正確に早く、そして長時間働いてくれるようになった。つ
まり、ホワイトカラーのデスクワークも消滅するのではないかといわれているのであ
る。
さらに、「人生100年時代」と言われるようにもなった。60歳で定年を迎えたとした
ら、残り40年も時間ができる。これにより「定年の延長」という発想も出てくる。
他方、シニア世代が引き続き就業する中で、気力・体力・記憶力・視力が落ちてくる
という現実もある。そこで私たち人間の能力を補うためのコンピュータの活用という
発想も必要になってくる。 そういう意味でのデジタルトランスフォーメーションの
必要性も考えていくべきである。
いわゆる「企業ブランド」も大きく変化した。信頼の定義というのは「大きな会社で
ある」「東京に本社がある」といった点ではなく、「変革することができる」「変化
に柔軟に対応できる」といった企業のブランド価値が高まってきたといえる。
すると、人材採用の条件も変わってくるものだ。「長く勤めてくれる」「職住近接」
「転勤も厭わない」といった条件も、そして企業が求める成果の部分も、所謂「正社
員」のアドバンテージが崩壊してしまったということである。
最近よく耳にする言葉だが、「ジョブ型雇用」形態へのシフトも注目されている。サ
ラリーマンをビジネスマンに変えるのがジョブ型雇用である。
「時間の単位」についての考え方も変革しなければならない。
昨今のようにコンピューターと共に調整していくような時代においては、「8時間勤
務」を「60分単位」で考える、つまり個々のタスクを入れ込んでいく枠組みを1時間
単位で考えること自体を変えていくべきだ。 半分の「30分単位」、もしかすると4
分の1の「15分単位」で小さな枠組みを作り、その中に細分化したタスクを入れなが
ら全体をマネージメントして成果を出していくと変わってくるのではないか。リモー
ト勤務の社員も居る場合、細かく指示を出さなければならない。 これはつまり、マ
ネージャー・管理職に必要なスキルセットも大きく変わってくることになる。 管理
職の再教育を重点的に行って行かなければならない。
そして、オフィスワークとは「特別なもの」「プレミアムな選択」になっていくと考
えられる。 オフィスでは快適な環境で仕事ができ、チームメンバーが集まることで
マネージメントもしやすい。オフィスワーク自体の価値を高めていく部分のマネージ
メントも必要になってくる。
【VUCA(ブーカ)の時代】
(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、
Ambiguity(曖昧性))
今、「VUCA(ブーカ)の時代」と言われ、「不確実性」が非常に高い時代を迎えてい
る。 つまり「何が正解か」ということが無くなってきているのだ。
それを踏まえると、決まった正解がない仕事が増え、複雑化した社会の中で非常に曖
昧な答えを探りながら成果を出していくことが強力に求められるようになる。
「働き方改革」つまりは「多様な働き方」と協働していく職場を作って行かなければ
ならない時代になった、ということだ。
そのような中、中堅・ベテラン社員も居り、その人達もそれぞれに、多様な価値観や
経験値を既に持っているものだ。 そこに対してモチベーションを与えながらアウト
プット管理をしていくことは非常に重要である。
そして、「情報」に関してはインターネットで誰でも簡単に入手できる時代になった
が、「理解している風」と「できる」では全く違う。何を以て多様な社員のアウトプ
ットを引き出し、成果に導くのか、と考えると、モチベーションマネジメント、タレ
ントマネジメントが重要である。
これまでの時代においては「成功の道筋」とは明確に描けるものだった。
しかしこれからの時代においては、「成功の道筋」自体を自分たちで創造できる人材
が重用されるようになってくる。つまり、指示をされれば動くのではなくて、コンピ
ュータをフル活用しつつも、自分たちの頭を使って将来の道筋を作っていく人材が必
要になってくる。
また、会社組織にとっては「自分達で課題を発見して創造する」という視点が重要に
なってきた。「分業型ピラミッド型」だった組織が「柔軟性に富む組織」に変容して
いかなければ、時代に応えることができないということである。 働く社員に必要な
資質も、「指示命令に対して忠実である」人材から「自分で考えて決断をしてくれ
る」、つまり権限を委譲しても自分で答えを見つけていくことができる人間性を持つ
人材が必要だ、ということである。 それに伴って管理職・マネージャーも「指示命
令していく」から「委任していくことができる」ような関係性を築けるよう変容して
いく必要もある。
以上
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【ニュース・お知らせ】
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本書を読めば製造現場の実状はDXとは程遠いことを理解していただけると思います。
ここに書いてある話は決して中小企業の話ではありません。日本を代表する大企業の
実態話が中心です。
★12月2日にJUAS(日本情報システム・ユーザー協会)で有償セミナーを開催しま
す。
生産管理システム基礎知識入門(組立・加工製造業編)【オンライン受講可】
https://juasseminar.jp/seminars/view/4120185
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