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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第79号)
http://www.ictm-p.jp/
2020/07/15
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【目 次】
1.会長コラム 『 グローバルな目つきでDXの推進を!』
ICT経営パートナーズ協会 会長
関 隆明
2.ニュース・お知らせ:今号は有りません
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会長コラム 『 グローバルな目つきでDXの推進を!』
ICT経営パートナーズ協会 会長
関 隆明
緊急事態宣言解除後、「感染防止」と「経済活動」の両立を図って行く「ウイズコ
ロナ」の生活へと入りました。当初割合上手く感染を抑制して来た我が国も、東京を
中心に、また新感染者が増えてきました。解除前までの経済的負担の増大に伴い、直
ぐ外出禁止の状態に戻すことはせず、感染者発見体制の強化を図りながら、経済活動
活性化の方向にウエイトを置きだしてきています。
今回のコロナ危機は極めて短期間の内に、我が国の抱えている多くのIT活用の遅れを、
国民に強く認識させてくれました。
〇感染者発見用検査機の増強や初診へのオンライン診療の活用等を拒んでいる制度
や規制の多さ
〇マイナンバー制度に代表される省庁、自治体業務のオンライン化の遅れによる
申請業務の混乱と特別定額給付金や雇用調整助成金などの支給の大きな遅れ
〇省庁、自治体及び医療機関相互の円滑なコミュニケーション手段の欠如
〇夜間の患者モニタリングシステムの未整備からくる看護士への負担増など、欧米
や韓国などに比し、はるかに遅れている実態が露呈しました。
政府は「2020年度の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の骨子の中に、
「コロナの感染を防ぎながら、経済・社会活動に取り組む「新たな日常」を実現する
為の、行政サービスや社会全体のデジタル化への集中投資」を重点課題として盛り込
みました。 背景には地方自治体を含む行政手続きのオンライン化が大きく出遅れて
いるという問題があります。
OECDの調査によると、日本の行政手続きのオンライン利用率は、2018年時点で7.3%
と、最も進んでいる70~80%のアイスランドやスエーデンなどに、大きく遅れを取っ
ています。
政府は約20年前に「5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す」と宣言し
ました。 そして「2003年までにすべての手続きをネット化する」という方針を
示しましたが、残念ながら遅々として進みませんでした。
今回はただ宣言し予算を付けただけではなく、例えば各省庁を横断的につなぎ、こと
にDXの遂行に関しては絶対の権限を持つ組織を作るべきだと思います。
そして裏付けのある工程表を作成し、その遂行に必要とされるIT人材を確保し、必要
に応じて外部の経営改革の専門家やSIerなどを含め、最後まで完遂出来るオープンイ
ノベーション型のチーム作りまでつながるようにすべきだと思います。
更に政府の規制改革推進会議が、経済活性化につなげる規制緩和策の答申をまとめ、、
安倍首相に提出しました。 答申には企業などでまだ導入が遅れているテレワークを
後押しする為、行政手続きなどでの押印や書面、対面作業を抜本的に削減することを
盛り込んであります。 そしてこの3点が必要な全業務を、ゼロベースで見直すよう
求めています。
年内に点検し、各省庁に法改正などを要請する方針を示しています。 更に省人化
を見据えたデジタル技術活用ではドローンによるインフラ点検の必要性などが盛り込
まれているものの、残念ながらオンライン診療については、新型コロナ収束までは初
診患者にも認められますが、恒久化の議論は先送りとなっています。
答申を受け取った安倍首相は「デジタル化の遅れを痛感した。従来型の規制、制度を
大きく変革する」と述べています。 この会議では小林議長のイニシャテイブのもと、
かなり具体的に突っ込んだ議論が行われ、各省庁に強く実行を要請する迫力を感じま
す。 答申を受けた首相には、是非行政の発想転換と時代遅れの規制や制度の排除に、
強いリーダシップを発揮して頂きたいと思います。
いずれの変革も省庁や企業ともに、本格的なデジタルトランスフォーメーションの実
行があって実現できることであり、厳しい人材不足の中、次の如き大量の既存システ
ムの改変や、新システムの開発が必要になってくると思われます。
(1)紙と印鑑の廃止や対面作業の廃止に伴う、既存システムの改変や新システムの
開発
(2)マイナンバー制度の不足機能の拡充や、関連業務を含めたオンラインサービス
強化のための、既存システムの改変や新システムの開発
(3)上記のような大掛かりなシステム改変や新システムの開発を機に、テレワーク
の徹底的活用による新しい働き方改革の実践
これらの課題は、欧米先進国では、既に解決済みのものが多く、現在はAI、IoTなど
先進技術を活用したシステムやデータ中心のシステム開発など、何ステップか先の課
題解決に取り組んでいます。
大きく遅れを取っている私達は、例えば紙ベースで行っていた業務を、単純にデジタ
ル化するのでは意味がなく、時代要求に合致しないと指摘された制度自体を廃止する
か、時代を先取りするような変革に合わせて実施し、新しくデジタル化された新シス
テムへと一足飛びに発展させていくことが、強く望まれます。
このような状況の中、当協会はこのメルマガでも何回か紹介させて頂いている、ロー
コード(元 超高速)開発の活用を積極的に薦めています。 プログラミング言語を
知らない人でも、業務プロセスや業務ルールとデータ項目を理解しており、必要な画
面、帳票などが分かる人ならば、自動的にプログラム開発が出来るツールです。
少ない人数で安く、早くそして品質高くプログラムを作ることが出来、変更、追加に
も柔軟に対応できる、アジャイル開発の強力なツールとして、威力を発揮しています。
更に、新システム開発が急増している中、より上位の上流工程の業務プロセス開発、
ビジネスアナリシスなどのメソッドやツールの活用にも力を入れています。
従来の属人的な開発手法では、頻繁な変更や追加にドキュメントの更新がついて行け
ず、システムがブラックボックス化して、プログラム開発担当者以外はメンテナンス
が出来ないということになります。
超上流からローコード開発までの各種メソッドやツールを使えば、新システム開発で
も、既存システムの変更や追加が格段に効率よく出来るようになります。
日本は米国などに比し、ユーザ企業のIT人材の人数比が圧倒的に低く、システム開発
でのイニシャテイブが取れない状況が続いています。
これら上流からローコード開発までのツールを業務知識豊富人達が、積極的に活用す
れば、システム開発においてユーザ企業が強いイニシャテイブを取れると思っていま
す。
今回のコロナ危機で、高いと思っていた我が国のIT活用レベルが、余りにも低いと実
感出来た今、「事実誤認からくる自惚れ」から抜け出し、国の総力を挙げてデジタル
トランスフォーメーション(DX)に取り組んで行かなければならないと思います。
以上
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