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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第77号)
http://www.ictm-p.jp/
2020/05/20
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【目 次】
1.巻頭コラム 『行政システムデジタル化の遅れを取り戻そう 』
ICT経営パートナーズ協会 働き方改革ビジネス検討会委員長
岡田裕行
2.ニュース・お知らせ:
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【巻頭コラム】 『行政システムデジタル化の遅れを取り戻そう』
ICT経営パートナーズ協会 働き方改革ビジネス検討会委員長
岡田裕行
新型コロナウィルスで日本の行政システムの弱点が露呈されました。 諸外国のス
ピード、スマホを活用した各種対策等の事象だけでなく、それを可能にするシステム
のインフラ構造に注目すべきでしょう。 日本の行政システムの問題、解決方策を外
国事例も参考に考えてみます。
1 外国事例
1.1オーストラリア
例えば車検登録。 整備工場で車検すると、整備工場がオンラインで州に合格登
録。 保険をオンライン契約すると保険会社が州に契約締結を登録。 州のポータ
ルサイトで車検、保険締結終了を確認し、登録税をインターネット決済して車検
登録が完了する。
日本のデジタル3原則、(1)デジタルファースト(2)ワンスオンリー(3)
コネクテッド・ ワンストップ(民間サービスを含む)が見事に実現されていま
す。
2002 年3月に設置された連邦、州、地方自治体の代表からなる統合化サービス
検討委員会を中心に、1988 年に導入された納税者番号を活用し、医療、税務、
求人案内、老人介護及び子育て支援等多岐にわたりデジタル化が推進されていま
す。
1.2韓国
自治体、銀行、公共機関等の連携で引越し等も証明書不要でシングルサインオン、
ワンストップです。 証明書が必要な場合も10年以上前から自宅で印刷可能、さ
らにPDFでの電子提出も利用できるようになっています。
2008年には2億9千万通程度の証明書類が削減され、発行や提出にかかる約1500億
円の費用が節減できたと推定されています。
IMF危機直後の1998 年から行政業務効率化が本格化、参考にしたのが日本のLASD
EC(地方自治情報センター、現J-LIS地方公共団体情報システム機構)です。
日本中の自治体がLASDECのシステムを共同利用していると解釈、共同利用目的で
自治情報化組合が作られます。 国が資金を拠出、共同利用の前提となる業務の
標準化、文書化をした上で基幹システムパッケージを作り、共同利用を実現しま
した。 自治体国際化協会(日本)によると韓国の自治体当たりのIT費用は日本
のおよそ1/6だそうです。
2 日本の行政システムはどうすればいいのか
世界銀行のビジネス環境ランキング2020で日本は昨年と同じ29位で、企業にとって
使い勝手が悪いという評価です。
行政手続きに要する費用は規制改革推進会議が2018年に初めてまとめた数値があり
ます。 企業が手続きに要する人件費ベースの年間費用は国関係で約8,341億円、
地方関係で2兆5,084億円、デジタル化で2割は楽に効率化できるとして国、地方合
わせ6700億円の削減になります。 これは住民の費用は入っていませんし、行政シ
ステムの運用費用も含まれません。 使い勝手の良さ、スピード、さらにコスト削
減が求められます。 どうすればいいでしょうか
2.1ツール志向を止め、サービス志向で基本構造からデザインし直す
昨年12月自動ハンコロボットが話題になりました。 書類をめくり、押印欄をカ
メラで認識、自動で押印。 現象を手っ取り早く解消しようとする試みです。
現象課題解決を積み重ねても却ってコストを加えるだけになりかねません。
今の日本の行政システムも拙速に個々のオンライン化を急ぐべきではないでしょ
う。 目的は何か、本来どうあるべきか利用者視点で、改めて基本からデザイン
し直すべきです。 そのためには利用者を起点に関係機関まで現実のプロセスを
見える化、デザイン志向であるべき姿を明確化、全体像を関係者で共有してから
個々に取り組むことが「急がば回れ」の道だと思います。
2.2縦割り構造を解消し、安価でスピーディーなシステム基盤を整備する
1800 をこえる都道府県、政令指定都市、市町村が独自に情報化を進めてきまし
た。 付加価値サービスは別として行政手続きに地域の差はないはずですが、自
動車免許システムも都道府県単位の実態です。
使い勝手を良くするためには政府、自治体、公共機関や民間を縦横に連携させる
必要がありますが、個別システム乱立のなかでは不可能です。 システムの共通
化は費用の捻出、仕様の決定、移行の調整等々非常な困難を伴います。 しかし
どこかで勇断を持って標準化、共通化等の基盤再整備が不可欠でしょう。
2.3全体を主導する強力なリーダーシップと実務部隊を確保する
個別システムが多数存在し、グランドデザインもできていない状況では、核とな
る強力な主導部隊が必須です。
政府CIOは政府各府省のデジタル化が主任務で、地方自治体に対しては支援とな
っており、自治体システム改革をリードする形ではありません。
地方公共団体情報システム機構は地方自治体からの出資で運営され、マイナン
バーポータルも運用していますが、自治体システム改革の根本には手を出せてい
ません。紙廃止等の法改正も必要であり、政府が強力なイニシアティブを発揮し、
実務部隊を持った強力なリーダーが実行する形が欠かせません。
3 ICT関係者の貢献
昨年12月にはデジタル・ガバメント実行計画が公表されました。 新型コロナ危機
を奇貨として腰を据えて取り組まなければなりません。
デザイン志向、業務プロセス、システム企画、高速開発、情報システムのレジスト
リー等々、多様なノウハウ、経験を持つ専門家集団である当協会もいろいろな場面
で行政デジタル化に大きな役割を果たすことができるように思います。
以上
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【ニュース・お知らせ】
●ローコード開発コミュニティの第7回総会及び記念講演会のご報告
感染拡大防止のため、4月21日(火)オンラインで開催、無事に終了いたしました。
・ネットコマース株式会社代表、斎藤昌義氏による記念講演
「デジタル・トランスフォーメーションの本質
~これからの開発と運用~」
は、IT企業のこれからの経営を考える参考になりました。
記念講演の講演資料及び録画内容は、会員限定(メルマガ会員ではなく、正会員及
び準会員(法人、個人))でお取りいただくことができますので、ご希望される方
は事務局 info@x-rad.jpまでご連絡ください。
まだ、未入会のメルマガ会員の皆様はぜひ、この機会にご入会いただき記念講演の
内容をご覧になってください。
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